07
 
魔王表紙rgb1m-72
「魔王になった幼馴染みとは子作りできません! (ジュエルブックス) 」
◆藍杜 雫 著/もぎたて林檎様 画 ・KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
本ジュエルブックス公式サイト
アマゾンセブン楽天エルパカe-hon紀伊國屋ヨドバシ/honto/Honyaまんが王倶楽部
◆電子書籍〔3/31~〕→YahooブックスアマゾンBookWalker楽天紀伊國屋

→自ブログ内試し読みプロローグ
→自ブログ内試し読み本文抜粋
属性;魔王/幼馴染み/子作り/豹変/眼鏡/制服/翼/ラブコメ/
私、真昼は魔法学校のエリート学生。
幼馴染みの月読は、のほほ~んとした眼鏡くん。
子犬みたいに懐いてくるカワイイ奴でなんだか意識しちゃう男の子。
そんな月読が人類最大の敵の末裔だった?
まさか魔王として覚醒してしまうなんて!
チートハイスペックな魔力だけじゃない!
一気にオレ様化してHなコトを……!
「魔王の俺の肉槍に穿たれて、気持ちよくなりたい?」
え? 世界を守るため魔王様と子作りですか?
魔法学校に通う私、真昼《マヒル》の生活は
樹海魔族との戦争が始まって、一変!
幼馴染みの月読《ツクヨミ》とともに生き残るために、子作りライフすることになった。
ワンコな彼はエッチで攻め様に豹変。
「お仕置きだよ?」なんて幼馴染みの知らない顔にドキッとさせられて!

それだけならまだしも、実は月読の正体は魔王!
敵の総大将だったなんて!!

――という感じの。
呪文とか詠唱しちゃう厨二病よりなチート魔法ファンタジーです。
実は初めての一人称小説だったり。
ブログ内にも試し読みを載せてますが
Yahooブックスさんの
試し読みがかなり長いですので、どんな話か気になった方は
よかったらチェックくださいませ~

呪文バスタード系かどうかって聞かれたけど
見ての通り(?)若干、和テイストのある世界観なので日本語の呪文です~
みどころは月読の呪文詠唱と、変な一人称Hかなぁwww

というか、担当さんは気づいてなかった気がするし、私も気づいてなかったけど
わりと、「BASTARD!!」とか「三つ目がとおる」とかそういうテイストの話ですw
よくよく考えてみたけど、月読と真昼の関係性は
るーしぇくんとヨーコさんからのダーク・シュナイダーとヨーコさんの関係性に限りなく近いです
王道!王道だよ!!!と主張してみる。
限りなく私の趣味に走った話です(笑)

多分、乙女系小説ではここまで趣味を詰め込んだ話は最初で最後かも知れない……
あとはガンパレ成分も混じってます(*´ェ`*) 
制服で戦っちゃうヒロイン!学兵もの!


4月刊
※どうも小説一冊とコミックスが二冊出そう(^^;)
予定は予告なく変更になることがあります
◆2016-04-17?(予定)UP

本ティアラ公式サイトお試し読み/《電子書籍もこちらから》
アマゾン/楽天/ セブン / エルパカ /アニメイトe-hon/ 紀伊國屋/ honto/ Honya/
ツタヤ
「軍師の飽くなき渇愛 (ティアラ文庫) 」
◆藍杜 雫 著 ・プランタン出版
◆2016-04-16?(予定)UP

眼鏡王子の溺愛×罠 王宮図書館の淫らな昼下がり: ミッシィコミックス/YLC DXCollection
七里慧 様(画)藍杜雫(作) 宙出版
アマゾン/楽天/セブン/ エルパカ / e-hon紀伊國屋honto/Honya/ ツタヤ
眼鏡王子の溺愛×罠-ハニートラップ
◆2016-4-20?(予定)UP
「S系公爵の優雅な戯れ-水都秘恋ロマネスク【乙女ドルチェ・コミックス】」
◆琴稀りん様(画)藍杜雫(作
※予約受付中ですが発売延期していました。
アマゾン/楽天セブンエルパカe-hon紀伊國屋hontoHonyaツタヤ
S系公爵の優雅な戯れ〔ヴァニラ文庫〕
 
07
 
「魔王になった幼馴染みとは子作りできません!」

プロローグ 告白はタイミングが命です


「真昼、実はずっと話そうと思っていたことがあるんだ」
 幼馴染みの月読から言われた瞬間、私は「来た!」と思った。
 ――子作りの話よね、もちろん。
「な、なに……話って……」
 形ばかり問い返しながらも心のなかでは祝福の鐘が鳴っていた。
 やっと待ち望んでいた展開が来たのねなんて考えて、ともすれば頬が緩んでしまう。
 朝、登校してきてすぐ。昇降口の壁際で手をつかれている、いわゆる壁ドン状態。
 本で読んで知っていたけど、眼鏡をかけた顔を近づけられるとドキドキする。
 月読ってば真剣な顔をすると、かっこいいんだから――どうしよう。
 ついに私も月読と『おつきあい』しちゃうのかな。処女を失って、人妻になっちゃうわけよね。子作りするってことは。
 眼鏡の奥で熱っぽい視線を向けられると、鼓動が高鳴って頬が熱い。たぶん私の顔は真っ赤になっているんだろうな。
 ほかの生徒が登校してくるときに「ひゅーひゅーおふたりさん、朝から熱いねぇ」なんてひやかしてくるのは、ひとまず無視。朝のこの時間に、昇降口でする話ではないと思うけど、ずっと話をするタイミングを待っていたから、拒絶するという選択肢は私にはなかった。
「こ、子作りの話ならもちろん、いいわよ? 私だって月読とって思っていたし……でもいまこの場所で話すのはちょっと、ね――?」
 もうすこし雰囲気がいい場所を選んで欲しかったな。
 なんて思うのはぜいたくだろうか。だってこれから試験があるし、みんなに見られてるし。
 ま、まぁいいんだけど? 月読のことだから、そこまで気が回らなかったのかもしれないし、幼馴染みの私としては大目に見てあげないこともないんだけど?
 月読の黒髪がさらりと流れるのがかっこよくて、思わず見蕩れてしまうから許してあげるわけじゃないんだからね!?
 なんてドキドキしている私に、月読が口を開く。
「真昼、『子作り』ってなんの話? そうじゃなくて僕、追試なんだ! 真昼、一生のお願い。魔法歴史学のノートを見せて!」
「は? え……って追試!?」
 拝み倒すように手を合わせて頭を下げられ、私は一瞬なにを言われたのかわからなかった。
「僕、今度こそ落第するかもしれない――だから、さ。真昼おねーさま、お願い!」
 あわあわと言い訳しながら頭を下げる月読は、いつもののほほん眼鏡の月読で、さっきかっこいいなんて思って、きゅんとさせられた私のときめきを返せと言いたい。
 私は震える拳を握りしめて叫んだ。
「月読のバカー!! 何回、追試を食らったら気がすむのよー!!」

   ‡    ‡    ‡

 私の名前は真昼・ナナカマド。学兵です。
 学兵ってなにかというと、また修学中の身でありながら、戦争に出撃する兵士のことです。
 白砂王立第一魔法学校、高等部二年生。
 追試だからノートを見せてって言ってきた黒髪眼鏡の少年は幼馴染みの月読・フユモリ。
 同じく白砂王立第一魔法学校に通う普通の高等部二年生。
 私も月読も一応超常現象たる魔法が使える――いわゆる魔法使いだったりします。
 白砂王国には昔からすこしばかり、この超常現象たる魔法を使える人がいました。
 これでも私は、魔法学校では一応、優等生で通っていたんですよ?
 戦争がはじまるまでは……ですけど。
 私の目標は魔導士の資格を取って就職すること。あ、もちろん結婚して素敵な旦那さまが欲しいとかそういうのもありますが、まずは安定した生活が一番ですものね!
 魔法学校での成績は二百人中常に十番以内をキープ。
 先生の面倒な用事も断らず、内申もバッチリです!
 国立魔法大学への推薦も間違いないし、目指せ、公務員――白砂王国魔法省! だったんだけど……。
 その順風満帆の人生を邁進していたところで、戦争ですよ。
 樹海魔族が攻めてきたのです。魔法歴史や魔法情報学で勉強するだけじゃなくて、本物の樹海魔族をこの目で見る日がくるなんて――正直、思ってもみませんでした。
 魔王復活!? なにそれって感じです。
 けれども樹海魔族との戦いのために、あっという間に全魔法使いが召集され、その数が足りないとなると、今度は魔法学校の生徒も学兵として戦争に投入されることになりました。
 いま、試験を受けに行こうかという瞬間にも、出撃要請のサイレンが鳴ったらと思うと気が気じゃありません。
 え? 戦争ってなんで突然?
 私の生活は一変し、学校でいい成績をとるより、もっと難しい問題が迫ってきました。
 
 ――私も月読も、この戦争で、最後まで生き残れるのかな?



第一章 出撃待機は嵐の前の静けさ


「だーかーらー、昇降口でいきなりお願いしたのは悪かったってば、真昼」
「あたりまえでしょう!? 今度やったら、もう二度とノートを見せてあげないからね!?」
 ツンと鼻を上向けると、目の端で月読がしゅんと意気消沈したのが見えた。
 まるで叱られた犬がぺたんと耳を垂れたみたい。月読のこういうところはかわいいと思うし、嫌いじゃないけど、なんだか私が強く言いすぎたみたいでちょっとバツが悪い。
 でもね、あんなふうに腕に囲いこまれて間近で真剣な顔をするなんて――。もっとときめく話をされるんじゃないかって期待して当然でしょう?
 私だけが悪いわけじゃないと思う。思うんだけど……。
「真昼ぅ――ごめんってば」
 情けない声で謝られながら制服の端を掴まれると、弱い。
 上目遣いに潤んだ瞳を向けてくる月読ってば、庇護欲をそそるかわいさなんだもの。怒ってる自分がすごくいじわるに思えてくるんだ。
 うぅ……この卑怯ものめぇぇぇっ!
「しょ、しょうがないなぁ……月読ってば、いっつも人をあてにして――私がいないとダメなんだから!」
 ノートを見せてあげるから感謝しなさいよね! って腕を組んでお姉さんぶる私に、月読は
ばっと垂れていた耳を立てて、しっぽを振った。じゃなくて、表情を一変させて喜んだ。
「うん、真昼。ありがとう! やっぱり真昼は頼りになるよね!」
 眼鏡の奥で目を細めてうれしそうに言われると、私だって無下にはできない。
 ――あーあ……子作りの話はまた今度かなぁ……。
 ため息を吐きながらも、私は月読のために自習室の予約をとってやった。
 毎回落第すれすれの月読が、ノートを見せるだけで追試を乗り切れるとは思えない。私が勉強を教えてあげないとね!
 なんだかんだ言って、月読の面倒を見てあげるのは嫌いじゃないのだ。まぁ、真昼おねーさまに任せなさい! なんてちょっといい気になっているところにキンコーンカーンと予鈴の音が鳴った。 
「真昼ー! 急がないと試験が始まっちゃうよ!」
 月読に急かされて、私は慌てて魔法実技演習棟へと駆け出す。
 胸元の臙脂の飾り紐を揺らし、制服の短いスカートが翻る。
 襟やボタン留めに金の雲流が意匠されている制服は、魔法学校の生徒である証。
 男子は白地に浅葱色と濃紺色、女子は白地に萌葱色と臙脂色がところどころにあしらってあり、凜々しさと清潔感が漂う。腰の飾りについたリボンが揺れるのもくすぐったい。
 魔法学校の制服は子どものころからの憧れだったから、入学が決まったときはうれしくて、できたばかりの制服を着て、隣の月読の家まで見せに行ったっけ。懐かしい。
 金の雲流は白砂王国第一魔法学校の校章で、校舎のあちこちに浮き彫りや盾の形で見ることができる。実は魔力を秘めた図形で、校舎を防御しているらしい。
 同じように制服自体にも防御魔法が施され、魔法攻撃に対して生徒の肉体を守る機能を備えているのだとか。
 私が住むここ――白砂王国は白砂大陸中心部に位置する豊かな国だ。
 高い山脈から絶え間なく流れる水に肥沃な土地は、誰の目から見ても魅力的なのだろう。  その昔、白砂大陸に棲んでいたヒト族は危機に瀕していた。
 魔王が率いる樹海魔族に襲われ、人間が次から次へと殺されたのだ。
 異形の姿をした樹海魔族は強い魔法能力を持っていて、普通の武器では歯が立たない。そんな樹海魔族と闘う兵士を養成するために魔法学校が創設された。
 私が通う白砂王立第一魔法学校は国内でも最初に創設された由緒正しき魔法学校なのだ。エッヘン。
 もっとも古いのは校舎ばかりで、通う生徒のほうは伝統なんて大して気にしてないのが実情だけどね。
「おはよう、真昼。相変わらず旦那といっしょに登校とは……朝から見せつけてくれるわね」
 廊下を歩いているうちに、寮で同室のユカリに追いつかれていた。
「ほんとほんと。試験なのにイチャつかれてても困るわぁ」
 同じく友だちのマサゴがひやかすように相槌を打つ。まったくもう……ふたりとも私と月読をからかうのを毎日の楽しみにしてるところがあって、ときどき困る。
「誰が旦那よ! いいじゃない別に……幼馴染みなんだから……」
 頬が熱いのをもてあますように、もごもごと苦しい言い訳をする。さっきも子作りの話をし損ねたばかりで、私の心のデリケートなところなんだから、友だちならすこしぐらい気遣ってよね!? なんて、ユカリとマサゴを軽く睨みつけていると、空気を読まない人がひとり。
「あ、ぼくは別に構わないよ。旦那で」
 ちょっ……天然んんんっ! 月読ってば、なにを言っちゃってるの!?
 にこにこと邪気のない笑顔をしている月読は、言葉の意味をわかっているのだろうか……。正直、先が思いやられる。はぁ……。
 だって、私と月読はただの幼馴染みで、まだつきあってもいないんだよ?
 子作りまでの道のりは遠い……。
 本当に、こののほほん眼鏡を見ていると、戦争で生き残れるのか、不安になるくらいなんだよね。
 かつて異形の樹海魔族を率いた魔王に襲われ、ヒト族は絶滅の危機に瀕した。
 魔王は六枚の黒い翼を持つ有翼ヒト型の異形で、天空を自在に飛び回り、ほかに類を見ないほど広範囲に影響する魔法を行使できたという。
 けれどもいまの白砂王族のご先祖が立ちあがり、死力を尽くして魔王を倒したのだ。
 もちろん、これは過去の魔王の話。
 白砂王族が国を拓いた千年以上も昔の話。
 ――で終われたら、どんなにめでたいことか。
 魔王はなんと、白砂王族に倒されるときに、『ヨミガエリ』の秘術を施したのだという。
『俺は何度でもよみがえる。よみがえってこの地に君臨し、白砂王族を、この地に住むものを皆滅ぼしてやる――!』
 初代魔王は死ぬ直前にそんな呪いのような言葉を残した。
 事実、過去に五度、魔王はよみがえった。
 だからなのだろう。戦争が始まって以来、魔王が復活するかもしれないという噂が、白砂王国のなかではまことしやかに流れていたのだった。
 ちょっと、どこの誰が流した噂か知らないけど、やめてよね!?
 魔王なんてお目にかかりたいわけがないじゃない! ぶるぶる……想像しただけで体が震えちゃう。
 そんな魔族の襲来や魔王復活に脅える戦下であっても、魔法学校は、いま試験期間中。
 しかも今日の試験は私が苦手な魔法実技だ。
 魔法実技演習棟という、結界に守られて、室内で魔法を使っても外に影響がない特殊な建物で行われる。
 魔法実技演習棟の中心に立ち、
「……できるできる。私はできるんだから」
 そんな自己暗示で集中力を高めると、まずは炎を生みだそうと手甲を嵌めた右手を振りかざした。
 濃赤の魔法石がついた手甲は攻撃魔法を使いやすくするためのもので、手首を保護するサポーターによく似ている。普段は身につけていないが、私のように精霊魔法が苦手なものには、試験での使用が許可されていた。
「我は願う。炎の精霊よ、灯明となりて現れたまえ」
 呪文を唱えると、私の目の前に爪の先に灯すような炎が現れ、だんだんと大きくなる。
 たいまつの炎くらいまで大きくなったところで、教官が「よし」と合格を告げた。
 生活する上で使うことが多い炎の魔法は、まだ馴染みがあるから、精霊魔法のなかではマシなほうだ。
 はっきり言って、炎を出すとか雷を打つとか、精霊魔法の攻撃魔法、苦手なんだよね……。
 ひとまずほっと胸を撫で下ろしながら、次の防御障壁の呪文を口にする。
「我は願う。一重二重に我を守り給え……加護障壁」
 これは攻撃魔法ではないし、まだ得意な魔法だった。
 ピィンッっと薄いガラスを弾いたような澄んだ音がして、魔法が成立する。
 すると私が自分の周りに作った障壁に向かって、教官が炎を繰り出した。
「きゃああっ!?」
 ちょっ、待っ……ぶ、ぶつかる……!
 私が作った炎とは比べものにならない、まるで小さな炎の龍だ。口を開けて、うねるように炎の龍が襲ってくるなんて。怖い! 殺される! 
 怯んで逃げ出したかったけれど、足がすくんで動けなかった。やられる――そう思って目を閉じたところで、バシン、と大きな音を立てて炎の龍が障壁に衝突した。
 あ、よ、よかった……。ほかの人たちが試験を受けているときに何度も聞こえていた『バシン』という音はこれかと納得する。
 私の弱腰とは反対に、障壁は炎の龍を完全に退けてくれた。
 えらい! 自分で張っておいてなんだけど!
 助かったとばかりに肩の力を抜いたところで、先生から無情な宣告がくだされた。
「防御障壁はよし。炎もいいが……真昼・ナナカマド。雷と礫は限りなく不可に近い可だな」
「う……そ、そんなぁ……!」
 わ、私の成績がぁ!!
 よろれりと倒けつ転び出るように私は魔法実技演習室から出ていった。
 黒髪を留める桜花の髪飾りが、慰めるかのようにしゃらりと音を立てるけど、ショックなことには変わりない。
 うぅぅ……『優』とまでは言わないけど、せめて『良』が欲しかったよぉぉぉ。
 雷の魔法はなかなか安定せず、小さな光を生みだすのにも苦労したし、礫飛ばしなんて踏み固められた土床がわずかに盛りあがったのが、人差し指くらい飛んだだけ。
 そんなありさまでは確かに『限りなく不可に近い可』だって、お情けでもらったに違いない。でもこれまで優等生で通っていた私は、『限りなく不可に近い可』なんてとったことがなくて、しおしおとうなだれるしかなかった。
 ――これも全部戦争のせいだぁぁ……滅びろ、戦争!
 心のなかで悪態を吐いたところで、評価が変わるわけがない。
 戦争がはじまり、攻撃魔法の実技評価が重視されるようになったせいで、このところ私の成績は下降気味だ。努力して維持してきた成績がぁぁぁ!
 泣きたい。泣いてもどうにもならないのはわかっているけど。
「はぁぁ……だから魔法実技なんて嫌いなのよ……」
 入れ違いで試験に向かった月読はどうしただろう?
 ひとしきり頭を抱えたあとでふと思い出した瞬間、ズガンとものすごい音を響かせて、魔法実習棟の建物が大きく揺れた。
「うわぁ……こ、これ……つ、月読かなぁ……」
 実技試験を行う魔法実習棟の中心は、魔法が外に漏れないように幾重にも結界が張り巡らされている。その結界の力を揺るがすほどの魔法が、なかで使われたということなのだろう。
「あいかわらず……攻撃魔法だけが得意なんだから」
 それがどうしてあんなにペーパーテストは苦手なのかなぁ。
 私だって攻撃魔法が苦手だから、あまり人のことは言えないんだけど。
 生まれもっての素養が必要な攻撃魔法と比べると、ペーパーテストなんて努力次第でもうすこしどうにかなる気がしてしまう。
 ――まぁ、最近では攻撃魔法ができるからこその問題もあるんだけど……。
 ふぅっとため息を吐いたところで魔法実習室の扉が開き、黒髪眼鏡の少年が顔をのぞかせた。
「真昼、待っててくれたんだ?」
「と、当然でしょう? 勉強を教えてあげるって言ったじゃない……」
 しっぽを振って駆け寄ってくる月読に、私はすこしばかり唇を尖らせながら答える。
 どうにか試験の及第点がとれた私は、もちろん先に自習室に行っていてもよかったのだけれど、万が一月読が忘れていたらまずいと思って待っていてあげたのだ。
「うんっ……真昼、お願いっ! 魔法歴史、真昼は得意だもんね……真昼に教えてもらえれば百人力だよ!」
 月読に手を合わせて頭を下げられると、まぁ悪い気はしない。
「まったくもう……月読ってば……」
 かわいいけど、ずるい。朝だって、私が子作りのことかと誤解したのは無視だったくせに、こういうときだけは調子いいんだから。半ば呆れつつも、お願いされるのにつん、と鼻を横向けて、偉そうに腕を組んで恩着せがましく言う。
「教えてあげてもいいけど、これは貸しだからね? あとで代わりに私のお願いも聞いてよね?」
 別に月読のお願いを聞くのはいいんだけど、一方的に聞いてばかりというのは癪だもの。
 ――幼馴染みだからって、指導料を請求するのは当然です!
 ちらりと黒髪眼鏡の少年の反応をうかがうと、忠犬もとい月読は見えないしっぽを振りながら、即答した。
「もちろんだよ! パフェを奢るのでも遊びに行くのでも、真昼のお願い、なんでも聞くから!」
 それが私にとっての願いだと信じ切っているかのようにいきおいよく言われて、ちょっとだけ私の笑顔が固まった。パフェも遊びに行くのも嫌いじゃないけど、そうじゃなくて。
 ――子作りだってば!
 そう言いたい。でも私だけがそんなことを考えてるのかと思うと言えない。がっくりとうなだれると、月読は私が苦手な攻撃魔法を使ったせいで疲れているのだと誤解したらしい。
「真昼、大丈夫? 勉強を教えてくれるくらいの、余力はあるよね……あ、そうだ。さっそくパフェ食べに行こうよ。きっと元気になるよ……ほら」
「うーん……勉強にパフェ……」
 一瞬、どうしようかなぁと思ったけれど、月読に手を掴まれて、引っ張り起こされると、まぁいいかという気になった。我ながら現金だ。
 月読の面倒を見てあげないとと思いながらも、月読に甘やかされると口元が緩んでしまう。
「学食、もう開いているかな? きなこ黒蜜パフェ食べたい!」
 子どものころからの癖で月読の服の端を掴みながら、心を決めた。
 戦争がはじまって嗜好品は贅沢品になりつつあるが、いまのところ、被害はごく一部で、白砂王国の主な生産地はまだ普通に動いている。特に兵舎と魔法学校には、士気に関わるからと砂糖なども優先的に回ってきていた。命を賭けて戦っているささやかな代償だ。
 パフェを食べに帰ろうとしたところで、後ろから教官の声がかかった。
「帰るのはいいが、月読・フユモリ。おまえは魔法歴史だけじゃなく、魔法情報学も追試だぞ。ちゃんと勉強しておけよ」
「ええっ、二科目も!? うわぁ……真昼、ごめん。魔法情報学も教えてくれる……よね?」
 さすがにショックを受けた様子で私に頼みこむ月読の顔はかわいらしい。
 その顔は弱いんだってば!
 頬が熱くなり、一瞬言葉に詰まった。さっきは、教科書にかじりついて私の話題を無視したくせに、こういうときだけは調子いいんだから!
 半ば呆れつつも、お願いされるのに悪い気はしない。ツンと鼻を上向け、偉そうに腕を組んだ私は恩着せがましく言う。
「し、しょうがないなぁ。もぅ……本当に月読はわたしがいないとダメなんだから」
「うん、真昼のことは頼りにしてるよ」
 かわいい眼鏡少年からかけられる甘えた声。
 うん、まぁ……いいか。私も月読に用があるし、朝、追試で勉強見てあげるために自習室をとっておいたしね!
 実を言うと、月読は子どものころからかわいらしくて華奢だったから、私はずっと女の子だと思っていた。子ども心になんとなく守ってあげなくちゃと思っていたせいで、いまも保護者めいた意識が残っているのかもしれない。
 三つ子の魂百まで――そんな昔ながらのことわざが頭に浮かぶ。月読と会ったのは五才のときだけれど、小さいころからの刷りこみというのは、簡単に消えないのだろう。
「まぁ、真昼おねーさまに任せておきなさい!」
 私はついさっきまで魔法実技の評価に落ちこんでいたことなど忘れて、自慢げに胸を張って答えた。

 それはいつものやりとり。
 変わらない幼馴染みの関係。
 そんな日々がずっと続くのだと、そのときの私は信じていたのだった。

本文抜粋「魔王になった幼馴染みとは子作りできません!」本文抜粋

魔王表紙rgb1s-72
本ジュエルブックス公式サイトアマゾンセブン楽天エルパカe-hon紀伊國屋ヨドバシ/honto/Honyaまんが王倶楽部
 
07
 
「ダメ。真昼は僕のものなんだから……いくら雨水さまだって、浮気なんてさせないからね!? 真昼の体によーく言い聞かせておかなきゃ……んむぅ」
「わわっ……月読、制服から出るところにキスマークをつけちゃダメ!」
 強く肌を吸いあげる感触に抗って身を捩ろうとすると、月読の手でやわらかいお臍回りを撫でられた。「ひぇっ」と声をあげて、不覚にもびくんと感じてしまった。肌に触れられただけで、くすぶっていた熾きがふたたび真っ赤になるように、熱を掻きたてられる。
 その熱は月読に気づかれているのだろう。
 お腹をゆっくり撫でられながら、うなじから肩に、肩甲骨の凹みへとちゅっ、ちゅっと口付けられると、私の息はあっというまに乱れてしまった。
「ふぁ……あぁん……」
「真昼、ここを触れられると弱いんだよね。子どものころからくすぐりにも弱かったけど」
 くすくす笑われながら、お腹から下乳へと愛撫の手を移動させられると、やっぱり体の芯がどくんと熱く脈動する。ダメ。こんなところでって思うけど、体の疼きはもうおさまりそうになかった。
 背中から抱きしめられるようにして月読の手に胸を揉まれているうちに、体の昂ぶりはどんどん激しくなるばかりだ。
「あぁ……ふぁっ……つ、月読、やだ……制服、汚れちゃう……」
 言うのも恥ずかしいけれど、下肢の狭間が濡れて、いまにも下着から染みだしてしまいそう。それはやっぱり困る。だって濃赤のスカートに黒い染みがついていたら、情事のあとだって思われるに決まってる。私と月読は『子作りハウス』に住んでるんだもの。
「いいよ……スカートなんて汚したって、真昼のいやらしい蜜で、ぐしょぐしょになるまで濡らしてあげる……ほら」
 月読の低い声に、ぞわりと快楽とおののきが混じった気配が背筋を走る。
 なによ、その声……やめて。
 ぶるりと震えたところで、下着の上から秘処を撫でられたから、たまらない。甲高い嬌声が口から飛び出てしまった。
「ひゃぁあんっ!」
 びくびくってまるで痙攣したように身震いして、私は早くも達してしまった。
「あぁ……嘘、こんなの……はぁっ……」
 まだ触れられはじめたばかりなのに、体中が性感帯になったみたいに敏感になっている。
 たった一回、契りを交わしただけで、こんなふうに愛撫に感じやすくなってしまうものなのだろうか。そんなこと、本には書いてなかったけど!
 これが実地の恐ろしさ……本には書いていないことが現実には起きるものなのね。
 気怠い弛緩のなかでそんなことを思っていると、月読が背後で動くのを感じた。
 たぶん、制服の上着を脱いだのだろう。パサリという衣擦れの音が床から響いて、なんだかどきりとさせられてしまう。
 こうして聞いていると、服を脱ぐ音っていやらしいなぁ。背後でされて見えないだけに、なんだか想像力を掻きたてられて、ドキドキが増す気がする。
 私の体が落っこちないように月読が手を伸ばしてくれたときには、もうシャツ姿になったのだろう。まだ糊のきいたシャツが肌に擦れて、「あぁんっ」なんて鼻にかかった声が飛び出た。布地が素肌に当たるのも辛い。肌が粟立って、艶めかしい吐息が零れる。
 ずくずくと秘処が熱を持って疼く。必死になって堪えていないと、頭がどうにかなってしまいそうだ。私が月読の上で身じろぎしないでいると、今度は私の制服のスカートを脱がされた。もう残っているのはずらされた胸のコルセットと、下肢の下着だけ。
「すごい、まだ下着を脱がせてないのに真昼の匂いがする……」
「なっ、なんてことを言うのよ、月読ってば!」
 恥ずかしい。戦争だけじゃなく、天然も滅びろ! 率直すぎる幼馴染みの感想はあまりにもいたたまれなくて、私はじたばたと月読の膝の上で暴れてしまった。
「わわっ、真昼。暴れると危ない……!」
 そんな慌てた声にすこしだけ溜飲を下げたのもつかの間、もともと膝の上なんて安定が悪いに決まっている。バランスを崩した私は下着だけの猥りがましい格好で、かくんと落っこちた。はずだった。なのに、床に落ちて痛みを感じる代わりに、私の体はお尻を月読の前に突きあげるようにして、浮いていた。
「あ、あれ? 私浮いて……ひゃぁぁっ、ちょっと月読、なにしてるの!?」
 ありえないけど、理由は考えるまでもない。月読の飛行術だ。自分以外を、それも人間の体を持ちあげるのは難しいと聞いたことがあったけれど、月読は苦にせずできるらしい。
 月読の手が伸びて、からりと、私の靴を落としていく。ちょっと、靴を脱がせるなら、靴下も脱がせてよ!
 中途半端に下着だの靴下だのが残っているのは、月読の趣味なのか。
 自分で自分の体がままならない状態では、どうすることもできずに、ただ羞恥に耐えていると、腰を掴まれて月読の眼前に引き寄せられた。この格好はまずいでしょう! なんて思う間もなく、下着の上から秘処をぺろりと舐められた。
「ひゃぅっ! や、こんなの……し、舌は……感じちゃうから、ダメ……あっあっ……ッ!」
 ダメって言ってるのに、月読は器用に私の体を魔法で空中に固定させて、舌をぐりぐりと割れ目に押しつけてくる。下着の布地が擦れるのが、直接舐められるのとはまた違った感触で感じさせられてしまう。ねっとりとした快楽が陰唇で渦巻いた。
「ん……舌のほうが指で触るより感じちゃうんだ。じゃあ、要望に応えて、直に舐めてあげるね。……真昼をもっと気持ちよくしてあげる」
 最後のところを低い声で言われると、またぞわりと腰が震えた。
 こんな月読の声、いままで聞いたことがない……。
 嗜虐的な声音に、ぶるりと震えあがることの快楽を感じてしまう自分も知らない。
 月読ってばやっぱり、子作りするときは性格が変わってない?
 なんてツッコミする理性は、あっというまに蕩けてしまいそうだった。
 最後の砦のように残っていた下着を下肢から剥ぎとられ、濡れた陰唇をぬるりとやわらかい舌が這うと、官能に開かれはじめていた体はあっというまに快楽に墜ちた。
 
06
 
確定申告がまだ終わっておらず
3月刊の情報整理も終わってないのですが
アマゾンを見て
うっかり色んなモノが重なっているのを見てしまった……

裏側で色々動いていただいていたのです(>_<)
さ、3月だけじゃなく4月も
お小遣いの余裕を残しておいていただけると嬉しいなぁ(^◇^;)

明日には情報を挙げたいと思います~~~

最新記事

Twitter



藍杜屋/バナー企画

RSSリンクの表示

最新コメント

リンク

QRコード

QR

【縦長バナー2】

Copyright © 藍杜雫 / Designed by Paroday